普段から様々な音楽を聞くことが好きなのですが、6月の末にEGO-WRAPPIN'のライブを聴くため、味園ユニバースへ。
ライブ鑑賞というのも大きな目的だったのですが、どちらかというと今回は、大阪の文化の発祥の地であった味園ユニバースビルが2025年7月5日をもって閉館し、建物の老朽化と安全性の問題から解体されてしまう為、その前に建物や空間を感じておきたいという思いが強かったように思います。
70年前に建てられた味園ユニバースビルがとてもユニークだと思うのは設計が建築家ではなく、創業者である志井銀次郎氏本人であること。志井氏が頭に思い描くアイデアをスケッチし、社内の職人たちがそれをもとにつくったといいます。
また、創業当時は日本一のキャバレーをはじめ複合レジャー施設として始まり、エネルギーに満ち溢れ、日本の高度成長期と共に人気となった昭和の娯楽施設でしたが、その後は宴会場やサウナ、ホテルや飲み屋などの店舗が入った娯楽施設へ姿を変え、一時期は廃れたビルになることもあったようです。
しかし、見事にこの10年の間に大阪でも有数の人気を誇るライブ会場へと成長し、最後の時を迎えました。
その空間に身を置くと幅広い年齢層の方々に愛され、人々の娯楽に対する情熱が時を経て重なり合い、まるで建物や空間が感情をもっているかのように感じ、紆余曲折を経た大阪文化の発祥の地が、人々に最後まで愛され続けたことも伝わってくるようでした。
建築家ではない創業者が設計した建物があらゆる年代の人々を巻き込み、長年にわたり大阪の街を盛り上げてきたという所に建築が単なるデザインに留まるものではないということを強く感じると共に、味園が消滅した後も、必ず大阪の文化発祥の地としての物語が受け継がれていき、未来への期待が膨らむように感じました。
音楽と空間が融合し相乗効果を果たすあの空間はもうありませんが、味園の最後に立ちあえたことは大切な思い出となりました。(業務改革室 小坂)