先日、枚方市の住宅地の一角に新たなお住まいが完成しました。
お施主様のご厚意で完成見学会をさせていただきました。ご協力いただきましたお施主様、ご参加いただきました皆様、この場を借りて御礼申し上げます。
今回は、将来の暮らしを見据えて、介護しやすい設えが条件となった家づくりでした。
そんなご要望を持つお施主様へ、プロデューサー樋口がご紹介したのは、建築家・藤森大作氏。楠葉の平屋をはじめ、車椅子での暮らしやバリアフリーを考慮した家づくりを多く手掛けています。
今回のお住まいで藤森氏は「バリアをなくすこと、つまり健常者にも使いやすく優しい空間」と再定義して、設計を手掛けました。
緩やかなスロープを上った先にある、洗い出し仕上げのゆとりのある玄関。介助者が付き添えるトイレ、家事もし易いコンパクトな動線設計。また各所に設けられた手すりは、ラタン巻仕上げで統一され、空間に自然に溶け込んでいます。
玄関横の引き戸を開けると、美しい杉の梁が現しとなったLDKへつながります。勾配天井と二つのテラスによって、床面積以上の広がりを感じられる空間です。
ウッドデッキテラスでは、プランターで家庭菜園を楽しまれる予定とのこと。
天気の良い日は、テーブルを置いて外で食事をしたり、本を読んだり、ゆったり過ごすこともできそうです。
床には、熊野杉の無垢フローリングを採用しています。
杉は柔らかい針葉樹、空気層が厚いため調湿性があり、冬はほんのり温かく、夏はさらさらした気持ちの良い足触りが魅力の材です。
来場いただいたお客様も、その足触りの良さを体感いただきました。
キッチンの腰壁は杉板に珍しい革張り仕上げが施されています。
会場で藤森氏に聞いてみると、「年齢を重ねて、もし伝い歩きが必要となった時、身体に当たっても痛くないようにしたい」というお施主様の想いから着想を得たのだそう。
お施主様と建築家の優しさがにじむ、印象的な設えです。
この革は、IFAで家づくりをしてくださったレザークラフト作家のお施主様のご協力によって、実現することができました。来場者の方に解説しながら、嬉しそうに革張りの壁を撫でる藤森氏。周囲の無垢板と共に、経年変化によってどのように味わいが増していくのか、とても楽しみです。
アシスタント中井