こんにちは、アシスタントの中井です。
以前、Vaundyのライブを見るために東京を訪れました。
会場は国立代々木競技場第一体育館。
1964年の東京オリンピック開催に合わせて建設された、建築家・丹下健三氏の代表作のひとつです。これまで近くの歩道橋から眺めたことはありましたが、敷地内に入るのは初めて。ライブが始まる前に、建物の周りを歩きました。
吊り構造で設計されたこの建築は、126メートル離れた2つの支柱の間を太さ約30センチある2本のケーブルが繋ぎ、そのケーブルから垂直方向に延びる鉄骨とワイヤーが鉄の屋根を支え、建物が構成されています。
丹下氏がこだわったのは、選手も観客もすべての人が競技に熱中する「一体感」をつくること、そしてその妨げとなる柱を持たない大空間の実現でした。結果として、採用されたのが「吊り構造」。ワイヤロープによる引っ張る力を利用して屋根を吊る、というものでした。
橋などでは一般的な構造でしたが、施設として、それもこれほどの大屋根を吊り上げる建築物は当時、国内はもちろん世界的に見ても前例の少ない試みです。
オリンピックという大舞台が迫る中、設計、構造、現場が団結し、様々な課題をクリアしながら完成した、ものづくりの熱いエピソードも多く残っています。
建物の外周を歩いていると、吊り構造ならではの独特で美しい屋根形状を角度を変えながら見ることができます。布が垂れるような柔らかなラインにも似た有機的なフォルムは本当にきれい。端正なコンクリートとの組み合わせがとてもかっこよくて、シャッターが止まりませんでした。
隣に建つ第二体育館。こちらは同じ吊り構造を縦方向に使用しています。支柱の先、一点から放射線状に流れるような独創的な形で、第一体育館と対になってとてもきれいです。ですが、ここまで来たらエネルギー切れになってしまいました(笑)入場時間も近づいてきたので、このアングルまでにとどめて受付まで戻ることに。
会場内は残念ながら撮影不可。また演出のため場内はスモークが立ち込めていました。楽しみにしていた天井は肉眼で見えずでしたが、音楽に合わせてステージから発されたレーザーライトが様々な形に変化しながら、会場を縦横無尽に貫く様子は圧巻。生歌に生バンド...Vaundyのエネルギッシュなパフォーマンスに会場は大盛り上がり。丹下氏がつくりたかった「一体感」を感じつつ、ライブも心から堪能することができました。
さて、建築やライブと合わせて、もうひとつの楽しみだったのが、ビールです。
近年、居酒屋巡りにもハマり、旅の楽しみのひとつになっています。
今回はライブ終わり、人の流れに沿うように歩いて、代々木から一駅先の渋谷にあるデンマークのクラフトビールのフラッグシップ店、ミッケラートウキョウへ行きました。
今回訪れた時は冬でしたので、店内は閉め切られていましたが、季節の良い頃は建具が開け放たれ、縁側のような雰囲気になります。(写真は5月に訪れた時のもの)
奥行きのあるモルタルベンチを他のお客さんと譲り合いながら腰を掛けて、ビールをいただきます。
ライブの余韻に浸りながら美味しいビールを堪能しました。
徒歩圏内に白井晟一の渋谷区立松濤美術館もあります。渋くてかっこいいですよ。建築とビールと美術館、気ままな東京散歩に、よかったら参考にしてみてください。