国宝「曜変天目茶碗」に会いに行きました。日本に三つあると云われている茶碗を見るのは、大徳寺の物以来、二つ目になります。その小ぶりで両手の中にすっぽり納まりそうな茶碗は、見る角度でキラキラと輝く釉薬の世界に、時を忘れて引き込まれ、いつまでもその場に留まりたい衝動に駆られます。
コロナ禍の2022年4月にオープンした藤田美術館は、以前は「蔵の美術館」として知られていました。新しい建物は白い大庇を持つガラス張りのモダン建築へと生まれ変わりました。古い蔵の記憶を取り入れた設計は、展示を見終えた最後の動線が見事です。
展示室を出ると旧い蔵の窓や扉を活かしたホワイエと、そこから半屋外の路地を、庭園を愛でながら余韻に浸って出口へと向かいます。
いつもは建築に重きを置く美術館巡りですが、古美術に出会う為に、何度でも訪れたい美術館です。
藤田美術館
設計:大成建設
文:建築家 交久瀬常浩(2022年11月発行・IFA住宅設計室通信vol.84 建築家エッセイより)
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この建築家エッセイを読んでから、いつか訪れてみたいと思っていた藤田美術館へ、先月ようやく足を運ぶことができました。
京阪京橋駅から歩いて15分ほど。雑踏を抜けると、ガラス張りのモダンな建物が現れます。
一般的な美術館とは少し趣が異なり、館内はカフェを訪れるような気軽さを感じる、開放的なつくりでした。チケットカウンターはなく、蔵扉の前にいるスタッフの方に声をかけると受付をしてくださり、そのまま展示スペースへ案内してくださいます。
今回の展示は、豊臣秀吉と千利休が織りなす茶の湯の世界。スマホで無料の音声案内を聞くこともでき、展示を一つひとつゆっくりと楽しむことができました。
暗く落ち着いた雰囲気の展示室を出ると、目の前には自然光に包まれた新旧交わるモダンな空間と、その先に広がる日本庭園。対照的な空間への移り変わりにときめきました。エッセイに書かれていた通り、ゆっくりと出口へ向かう時間も、この美術館の魅力のひとつだと感じました。
エントランスのピロティにはカフェスペースや茶室もあり、建物を包む光や庭の景色を楽しむこともできます。ガラス越しにやわらかな光が差し込む空間は心地よく、つい時間を忘れて過ごしてしまいました。
今回は夕方の訪問だったため、カフェに立ち寄ったり、庭園を散策したりする時間がありませんでした。次は季節を変えて、建物だけでなく、庭やお茶の時間も楽しんでみたいと思います。(アシスタント中井)