昨年冬に東京で開催されていた展覧会「坂本龍一|音を視る 時を聴く」には、遠方であることや大混雑という情報から行くのを断念していました。
ですが今回、大阪で初の企画展が梅田にあるVS.にて開催されると知り、「混む前に!」という気持ちで早速「sakamotocommon OSAKA」展へ行ってきました。
VS.は、建築家・安藤忠雄さんの設計によってグラングリーン大阪に誕生した文化装置です。
イースタンサウンドファクトリーが手がけた音響システムと、大空間の没入型展示スペースが特徴で、原音に限りなく近い音を体感できるのだそう。今回の企画展にぴったりの場所といえるでしょう。
テーマは1970年大阪万博と坂本龍一。
当時の万博で紹介されたBaschetの音響彫刻と、それらを自ら演奏し音源を取り入れた作品「async」の制作過程を垣間見ることができる内容でした。
さらに、アーティスト高谷史郎さんとのインスタレーションや、愛用のグランドピアノにプログラミングされた本人の演奏などを通じて、坂本龍一の感性と音に触れられる、音と空間が一体となった、いつまでもそこに身を置きたいような心地よさに包まれる、不思議な体験でした。
高谷史郎さんとのインスタレーション「LIFE」
坂本龍一さん愛用のグランドピアノ
また、個人的に印象に残ったのは、Baschetのインタビューで語られていた言葉です。
「職人たちが幸せだったのは、50%を頭で、50%を手で仕事していたからです」
「人生はシンプルだ。複雑にしているのは私たちだ」
この二つの言葉は、複雑で難解に見えるものをシンプルに解きほぐすことが、表現や創作の本質だと言っているように感じ、なるほどなあと心に響きました。
メンテナンス部 浦田