世界的な彫刻家・造園家の流政之をご存知でしょうか?
建築家との協働作品も数多く、世界中で展示されています。
特に有名なものは、2001年のテロで壊されたニューヨークWTCビル前の広場のためにつくられた「雲の砦」です。当時2本のタワーは崩れてしまいましたが、石でつくられた巨大な彫刻は壊れませんでした。しかし、救助活動のさまたげとなる為、重機を運び込むために解体されたのです。
そんなエピソードのある巨匠のスタジオ兼住宅が高松にあります。レンガにおおわれたモダンなアトリエは瀬戸内海に向かって開いた庭にも彫刻が展示された美術館のようなスペースで、年に一度、ご本人の案内で公開されています。
四国の高松で庵治町というと、もう一人の巨匠イサム・ノグチのアトリエや住宅でも知られている地です。2人共、出身地でもないのに、この地を選んだのは、彫刻の材料としての石の産地ということだけではない、何かがあったのでしょう。
以前、私が勤めていた事務所の先輩に誘われていたのですが、都合が合わず、未だに訪問の機会がありません。ゼロ戦のパイロットでもあった、流氏は92才のご高齢なので存命中に是非と、今年の公開を心待ちにしています。
文:建築家 交久瀬常浩
写真:樋口真司
2014年3月発行 IFA住宅設計室通信49号 建築家エッセイより
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このエッセイの翌年、2015年秋にIFA建築研究会の一環にて訪問が実現しました。
写真は、その時プロデューサー樋口が撮影したものを使用しています。
流氏は2018年に老衰のため永眠され、翌年2019年9月5日「ナガレスタジオ 流政之美術館」として開館。現在は木曜~土曜、1日2回 10:30~ 13:00~ (約60分/定員制)で見学可能です。
詳細は「ナガレスタジオ 流政之美術館」の公式HPをご覧ください。
アシスタント中井